着物と日本髪と変身体験が大好きなぷにすけです。
昔の舞妓さんは今の舞妓さんより年も若く、ずっとずっと子供でした。
顔の描き方も今とは違いますし、着付けのカンジや髪型も若干異なります。
着物やかんざしも今のものとはおもむきが異なり、またステキです。
私の憧れでもあった、そんな昔の舞妓さんに大変身。
お店は、アンティークものの舞妓衣装をたくさん持っている「ペンション祇園」さんでお願いしました。
こちらは2002年1月の変身体験レポートです。
「ペンション祇園」さんは現在「芸舞妓の御部屋」と店名が変わっています。
昔の舞妓さんは本当に子どもでした
こちらが昔の舞妓さんの写真です。(写真提供:ペンション祇園さん)
このころの舞妓さんの年齢は、せいぜい十代前半。
今の舞妓さんに比べると、若いというよりもはや子供。
特に祇園の舞妓さんは「おぼこさ」が信条。はてさて、私は無事こんなカワイイ舞妓さんになれるんでしょうか‥‥( ̄▽ ̄;)
「おぼこい」=「幼い」「子供らしい」という意味です。
古の舞妓さんの装いに身を包んで
こちらの竹の着物は、昭和の初期頃の舞妓さんの着物です。
ペンション祇園さんでは、アンティーク着物(昭和初期からそれ以前の衣装)のコレクションにも力を入れています。
サイズ的な制約や、料金設定が通常より高めというのはありますが、興味のある方には体験する価値ありです。
こちらの、上品で美しい芸妓さんはもえぎさん。
こちらの芸妓さんの着物も、やはり昭和の初期頃のものだそうです。
お姉さんと一緒に。
まあなんいうか、ものの見事に子供な仕上がり。
もえぎさんのしっとりした大人の魅力とは対極ですね。
もえぎさんの髪も地毛ですが、こちらも昔風に、ボリュームたっぷりに結ってもらっています。
なので、現在の芸妓さんの地毛結いとは雰囲気が違っています。
お支度がすんでお出かけです。
この日は、ペンション祇園さんの姉妹店「かにかくに」で撮影をしました。
「かにかくに」のお座敷で撮影
「かにかくに」は、ペンション祇園さんの姉妹店です。
「かにかくに」はもちろん吉井勇の歌に由来。
こちらは「お茶屋ダイニング」の名の通り、古い京都のお茶屋を改装したお食事処。
祇園の末吉町通から白川のほとりに抜ける、まさに「ウナギの寝床」といった作りの建物です。
白川沿いのお部屋はとても京都らしい風情の眺めで、雰囲気も最高。
春には川沿いの桜がとても美しいです。
「かにかくに」は縦長のお店が大きく3つに分かれていて、末吉町通側がカウンター、白川側がテーブル席、そして真ん中がお座敷になっています。
舞妓変身の時は、このお座敷で写真撮影。
裾を引くと、竹の縦のラインが目を引きます。
もえぎさんはレトロ調に結った豊かな黒髪と、ほっそりとした体つきが、さながら竹久夢二の美人画のようです。
まさに大正浪漫を地でいってます!
今回のお座敷写真でも、特にお気に入りの一枚。
いや、ホントはもちろんカラーなのですけど。
このポーズとアングル、変身に行く前に見ていた本に出ていた昔の舞妓さんの写真と似ていたもので。
うれしくて、思わずこんなレトロ加工をしてしまいました。
究極のレトロ舞妓?
今回はご縁があって、こちらの着物を着せていただく機会に恵まれました。
大正時代の舞妓さんの衣装です。
総絞りに日本刺繍の施された、とても豪華な一品。
現在では技術がなくて作れない、貴重なお着物です。
柄は獅子の模様で、今の舞妓さんの衣装とは雰囲気が異なるデザインですよね。
昔の小柄な舞妓さんの衣装は、私でも裾を引くのが難しいサイズでした(汗)
このように、一見襦袢の上に2枚の着物を重ねて着ているようですが、実際には2枚着ていません。
正確に言うと2枚の着物を重ねて1枚の着物になっているものを着ています。
見えるところだけが重ねてあるのではなく、1枚の着物にまるまるもう1枚を重ねて仕立てている、非常に贅沢な作り。
襟、袖、裾、に下の着物もさりげなく見えてキレイです。
お獅子のアップです。絞りで染め上げられた獅子が、刺繍で描かれた鞠と戯れています。
今回の帯揚げは絞りです。
今の舞妓さんの帯揚げでは見ないですね。
端の方に屋形の紋が入っていました。(○で囲ってあるところです)
舞妓さんの帯に付いているのと同じで、これは蝶々の紋が入っています。
それにしても、こういう文化的にも貴重なものを残して、次の時代へ伝えていくって難しいことですね。
これらがすでに失われた技術だと思うと、なんだか複雑な気持ちです。
でも舞妓さんって、昔から本当に文化と技術の粋を集めた、生きた芸術品だったんですね。
それだけは、今も昔も変わらないことでしょうか。
着物以外もレトロにまとめています
かんざしも古いものに挿し替えました。(このお着物に合わせて、撮影用にわざわざ出していただきました。)
今のものとはやはりデザインが違いますね。
髷の部分に挿しているかんざしは、花の上に鶴がとまったおめでたいデザイン。
右にさしてあるのはお正月の定番稲穂。
この写真だとちょっとわからないですが、稲穂に金銀の水引みたいな飾りが付いています(あ、これは別にレトロ稲穂じゃないですけど)。
左のつまみ細工のかんざしも、細かい花が丸く集まった下に銀のびらびらがついていてカワイイです。
メイクはいつものごとく若い舞妓さん仕様なんですが、今回さらにレトロってことで、ことさらに顔の書き込みが少ないです。
口紅は下だけ、アイラインはほとんど引かず、目元も眉もぼんやりぼんやり。
白粉も、今回はホントに真っ白。
昔は照明が暗かったから、それに引き立つように今よりもずっと白く塗っていたのだそうです。
ピンクとかは、ほとんど入っていないです。
髪型も、やはり昔の舞妓さん風。
前髪は大きめにとり、鬢の幅は狭く、髷は大きめ。
全体的に小振りで、ぽってりとした感じに結っていただいています。
結い方は新日本髪です。
もえぎさん姉さんと一緒に
1月なのでお正月らしい風景も
「福玉」をもって。
「福玉」は年の瀬に、舞妓さんがお客さんからもらうお年玉のようなもの。
中には干支の置物などの縁起物が入っていて、開けるのは年が明けてからです。
福玉の販売もされている「井澤屋」さんのサイト→公式井澤屋
「福玉」の紹介ページ。一般の人も購入できます。
お正月飾りをかこんで。
ちっちゃなお供え餅がカワイイです。
ちなみにこの机もこれまた古いものだそうで、レトロ舞妓にはぴったり。
店内のディスプレイにも注目
後ろのかんざしは、ある舞妓さんの店出しから芸妓時代を経て、一生を終えるまでの人生の節目節目で身につけていたものを集めたものです。
一人の女性の一生が、かんざしに凝縮されています。
他にも、舞妓さんのかんざしや装飾品をはじめとする様々なものが、店内の至る所に飾られています。
もえぎさんの後ろにあるのは、舞妓さんの黒紋付。
お食事や変身体験だけでなく、いろいろな形で京都・舞妓を楽しむことができます。
こちらは「かにかくに」の店名の由来にもなっている、吉井勇の歌が書かれた着物。
もともとこの歌は、吉井勇が祇園の芸妓さんの着物に書いてあげたもので、これはまさにそれ。
白川の歌碑も、ここから版をとってつくられたのだそう。
さて、今回のレトロ舞妓。
自分が勉強不足なこともあって、イマイチイメージが固まってなかったところもありましたが、できあがった写真は気に入ったものがいっぱいでとてもよかったです。
なによりも、貴重な着物を実際に見て、袖を通すことができたのがとてもうれしくて。
究極の体験学習!?
これこそまさに縁!本当に感謝です。
次はもっともっと、昔の舞妓さんを研究して体験にのぞみたいなあ。