着物と日本髪と変身体験が大好きなぷにすけです。舞妓変身体験を、もっともっと楽しくするのに役立つ着物や髪型の豆知識をご紹介。
ここでは着物について簡単にご紹介します。
- このレポートは、下記の参考文献から得た情報の他、元舞妓など花街にいた方がされている変身店で私自身が伺って得た知識を元に書かれています。
- これらはあくまでも「変身体験のための」ということを主眼にしています。より専門的に調べたいという方はきちんと文献等お調べ下さい。
- 資料として掲載している写真は私自身の舞妓変身写真、またはご厚意で掲載許可をいただいた方の変身写真です。
ざっくり舞妓さん衣装紹介「通常編」
舞妓さんに限った話ではありませんが、着物もフォーマルなものと通常仕様、カジュアルなものがあります。舞妓さんの衣装にも、もちろんそういった違いがあります。
通常の舞妓変身でやるのは舞妓さんがお座敷に出るときに着る、一番スタンダードなスタイル。いろいろな色や柄のステキな着物に帯。変身で着物を選ぶ時はいつも目移りしてしまいますね。
舞妓さんの着物は、私たちが着る振り袖とはいろいろと異なるところがあります。特徴的なのはまず裾の長さですね。長く裾を引き、歩くときにちょっと褄をとるのがまたステキ(このときは必ず左手で)。
それでも遠出をするときなどは、裾を上げてしばってしまうようですね。変身舞妓さんは、やはり皆さん不慣れなことが多いですから、 これと同様にしばってしまうお店が多いです。
散策はしばったままにして、褄取り写真撮るときだけ外すとか。上の写真は、裾をあげてしばっている例です。
あとは肩上げと袖上げ。肩上げは肩のところを端折って縫ってあるもので、袖上げは同じく袖をたくし上げて縫ったようになっています。普通の振り袖にはこの部分はありません。
でも、七五三用の着物などにはあります。子供の着物に見られる特徴なのです。昔はこうやって子供の成長に合わせて袖丈を調節していたわけですね。舞妓さんが子供であったことの名残です。
以前はこれらのない普通の振り袖を着せるお店もありましたが、さすがに最近はなくなってきたな~って思います。
それから着物の柄。これまた舞妓さんのキャリアによって違いがあります。若い舞妓さんほど柄も華やかで、肩の方まで模様が入っています。でも、お姉さんになるほど柄は少なくなり、シンプルなものになっていきます。芸妓さんの衣装に近くなるわけです。
舞妓さんに限ったことではありませんが、着物は季節によって素材や仕立てが変わります。もちろん着物に合わせて帯も変えます。お店によっては、そういう着物の楽しみも含めて変身を楽しむことができますので、着物に興味のある人はそういうお店を選ぶと楽しみが増えていいんじゃないんでしょうか。
ざっくり舞妓さんの衣装紹介「正装編」
正装というのはもっともフォーマルな場で着るものです。
結婚式に黒に家紋の入った着物をお母さんやおばあちゃんが着たりすることがありますよね。あれと同じように、正式な場では黒の紋付きを着ます。
具体的には始業式、八朔、店出し、襟変え、といった節目節目の行事の時です。正装だけあって豪華さは格別。おめでたい柄がいっぱいです。
普通の舞妓変身でするのは舞妓さんの通常仕様の姿で、こうした正装はできません。しかし、なかには体験可能なお店もありますので、何か特別な時に体験してみてもいいかもしれません。
それ以外の舞妓さんの着物
お稽古など普段の生活に舞妓さんが着ている着物もあります。変身ではいわゆる「普段着舞妓」のスタイルですね。お座敷の着物と同じく肩上げがあり、普通に私たちが着る着物より「たもと」が長いです。
上の舞妓さんの浴衣姿。一般的に知られる浴衣姿とは少し違って、帯はお太鼓、足下には足袋という着物っぽい着こなしがよく見られます。
祇園甲部の芸舞妓さんたちが所属する井上流門下生の会「みやび会」が、毎年7月に行う「お千度」の姿が代表的です。
えー、そしてこれはおまけ。雨コートです。雨の日や雪の日の外出時に衣装の上に着ます。着物が汚れるのを防いだり、防寒の意味もあるのかな。
黒い襟と矢羽根の模様がカワイイです。あ、柄はこの他にも色々ありますけどね。裾はもちろん中で縛ってしまってます。
普通、着物は「たもと」の部分が開いていますが、写真でおわかりいただけるかな~。これはちゃんと「マチ」のように布でふさがれていて、ちょうど袋状になっています。
袋の中にたもとが収納されている感じです。(写真でもちょっとわかりにくいですが、この赤い布はじゅばんではなく、たもと部分を塞いでいる布です)これで汚れ対策もバッチリなのです。
ざっくり舞妓さんの衣装紹介「小物編」
着物を着るとわかるのですが、着物には様々な小物が付き物。これがまた一段と着物の華やかさをもり立ててくれます。
まずは半襟。若い舞妓さんほど赤い部分が多く、お姉さんになると白っぽくなっていきます。気をつけてみると、単に赤い布・白い布ではなく、見事な手刺繍が施され実にすばらしいです。
お姉さん用の白い襟は、遠目に見ると真っ白にしか見えませんが、近くで見るとびっしりと刺繍がほどこされ、それによって模様が浮き出しているのがわかります。どれも細かい細工でびっくりします。
こちらは、お店出しなどの特別な時に使われる一段と豪華な半襟。
このように本物の舞妓さん同様の凝った襟をそろえているお店は、かなり限られてきます。ちょこっとしか見えないものかもしれないけど、やっぱり違うんですよね~。華やかさや全体の風格を一気にあげてくれます。つけるときも、ずしっと感じるくらいに刺繍で布の重さが増しているような気がしますし。やっぱり一度は体験したいものです。
写真の帯揚げは、手刺繍の施されたものです。よーくみるとおわかりいただけるかと思いますが、この唐草模様は玉結びのような糸の点の集まりで作られています。ふわっと粉のように散らした白い点も全部そうです。
普通、帯揚げの模様は箔押しなので、これは特別なときのものですね。刺繍だと、柄に重みや風格が出るような気がします。
そして「ぽっちり」。これまたいろいろな細工が施されていて、意識して見てみるとなかなかおもしろいです。これも、本物の舞妓さんたちがつけているものは非常に高価なので、さすがに変身のお店では「本物」をおいているところはまず無いです。
なお、正装の時はぽっちりはつけません。
着物やこうした小物全体にいえることですが、これらを作れる職人さんがいなくなってきて、昔のような工芸品として優れたものは少なくなってきているのが現状だそうです。もしこういうものにふれる機会があったら、そういう工芸品としてもすばらしさもぜひ堪能してください。
最後に舞妓さんのトレードマークの一つ「おこぼ」。高価な上に消耗品。変身のお店もなかなかいい状態をキープしておくのは大変だと思います。
変身用の廉価品?の畳表のついていないものや、高さのやや低いものを使っているお店が多いです。
この鼻緒の色もこれまた年齢で変わります。若い舞妓さんは赤。お姉さんになるにつれて変わっていきます。
本物の舞妓さんのおこぼは、変身舞妓さん用よりも高さがあります。
後ろから見ると末広がりの台形になっています。
舞妓さんの着物も、細かいところまで見ていくと本当に奥が深いです。舞妓さんを通して様々な日本の文化が見えてくるような気がします。
着物の好きな人、興味のある人はもちろん、そうでもなかった人も、舞妓体験をきっかけにちょっとそんなことを気にとめてみてはいかがですか?