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京都以外の花街が舞台の本をご紹介

着物と日本髪と変身体験が大好きなぷにすけです。

京都以外の花街の本をご紹介。写真集ではなく文章メインの本です。

ぷにすけ
ぷにすけ

全部自分が読んだ本です。みなさんへのご紹介でもあり、自分の読書メモでもあり。

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金沢芸者の一代記「廓のおんな」

金沢は東の廓で、芸者そして置屋の女将として生きた、山口きぬさんの生涯を書いたノンフィクション作品です。

作者がきぬさんに聞き取りしたものを元にまとめているようですが、学術書のような堅さはなく、小説のように読みやすいです。

全編に流れる金沢の街の風景、四季の情緒、登場人物の話す「なまり」が、全体に文学的な美しさを与えているような気がします。

もちろん、きぬさんの人生もまた、小説のように劇的です。

明治の世に身売りで廓にやってきて芸者になり、水揚げ、売れっ子芸者としての日々、旦那のある身で廓を飛び出し、恋人の元に走って京都で素人としての生活、やがてまた廓に戻って置屋の女将としての再スタート‥。

こうして書き連ねるとずいぶん激しい感じがしますが、先にも書いた、文章全体から受ける印象のせいか、決して扇情的な感じはありません。

しかしそこからは、廓に生きる女性の哀愁、そして強さが伝わってきます。

今の時代とは違う部分も多いとは思いますが、「廓で生きる」ということの一つの形を、きぬさんの人生に見ることができると言えるのではないでしょうか。

本の中には、置屋の女将、娼妓、置屋に住み込むお手伝いさんの女性、仕込みの女の子と、芸者以外にも廓に生きる様々な女性が登場します。

明治から大正、戦争を経て戦後の新しい時代と、きぬさんの人生を通して、こうした廓に生きる様々な女性たちの生き方や、その変化も見ることができます。

時代とともに変わりゆく廓と、そこに生きる女性たちの姿も見所の一つです。

廓の文化や風俗、様々な習慣、そこに生きる人たちの考え方や生き方、色々なものが詰まっています。

単純に当時の廓の様子や風俗を知る上でもよい資料になりますし、一人の女性の一代記として読んでも十分におもしろいです。

そして金沢の街の美しさ‥。読んでいると、行ってみたい思いが募ります。金沢に限らず、花街の文化に興味がある方なら読んで損はない一冊だと思います。

福島の温泉街が舞台「置屋物語 -花街を彩った人々-」

こちらの本の舞台は、福島県飯坂温泉。

叔母の営む置屋に養子に入った筆者が、そこに籍を置いていた芸者さんたちを中心に、当時の花街や芸者さんたちの生活、生き方などを描いた本です。

時代は昭和初期から30年代くらいにかけての、芸者さんが一番華やかだった時代。

地方の温泉地とはいえ、東京をはじめ様々な場所からお客さんが訪れては、芸者をあげて遊んでいたことがわかります。

さて登場する芸者さんたちですが、年齢も性格も芸者になった経緯も実に様々。

そんな彼女たちの置屋での生活ぶり、お座敷でのこと、旦那との関係など、これまたそれぞれの個性豊かに描かれています。

芸者になりたくてなった人、売られてきた人、しっかり者で芸にも熱心な人、とにかくだらしない人。

旦那と一生添い遂げる人もいれば、芸者の方から別れてしまう人、正妻になっても「奥さん」がつとまらなくて結局芸者に戻ってしまう人。

芸者さんがいればその数だけ異なる生き方、エピソードがあるんだなあと改めて思いますが、当時の花街、芸者さんのことがかいま見えるとてもおもしろい内容です。

写真も多数掲載されていますので、視覚的にも当時の芸者さんの姿を知ることができます。

本書の筆者ですが、養子とはいえ、置屋の跡取りとして入ったわけではなく、また男性ということもあって、芸者や女将といった「当事者」とはまた違った視点からこの世界が見えていたのだと思います。

かといってまったく外部の人間でもないから、中のこともある程度は見えているわけで。

きれいなことも、そうでないことも。

芸者たちの表の顔と裏の顔とのギャップや、女所帯のがさつさや(笑)。

だから変に入れ込みすぎたり、幻想をふくらませたりすることもなく、「当事者」ではないから必要以上に繕うこともなく、でも「身内」に対する親しみと情にあふれる文章は決して嫌みがなく。

筆者の置かれた特殊なポジションが生んだ距離感が、他の花街関連本とは異なる独特な雰囲気を生んでいるのだと思います。

とにかく読みやすく、内容も興味深いものです。また一つ、別な視点から花街を見ることのできる本と言えるのではないでしょうか。

おもしろいエピソードは本当にいろいろ載っているんですが、それは実際本を読んでいただくとして。

一つ興味深かったのが、芸者たちが「水揚げ専門の旦那」を忌み嫌うシーン。

どこかで見たような、と思ったら↑でご紹介した『廓のおんな』にも同じようなくだりが出てくるんですよね。

彼女たちが「水揚げ」という物をどう考えていたのかが、少しだけ見える気がします。

先斗町以外も載ってます「芸者―ライザと先斗町の女たち」

アメリカ人の女性文化人類学者が書いた、日本の芸者についての本です。

タイトルに先斗町と書いてありますが、東京の花柳界や熱海の温泉地の芸者さんについても取り上げています。

内容は「芸者」というものの、その社会的意義・存在価値といったものについて考察するというものです。

この手の本には割と定番の、花街の行事やしきたり、服飾文化などについてはほとんど書かれていませんので、そういうことを知りたい人は他の本を。

著者自身三味線をたしなみ、「市菊」の名で芸妓として先斗町のお座敷に出、そうした体験を通して書かれたこの本は、外部の人間が書いた物とも内部の人間が書いた物とも趣の異なる、なかなか興味深い内容です。

時代的には昭和40年代くらいの花柳界の様子になるかと思いますが、エピソードにはそれほど今との違いを感じません。

花街に馴染みのない女の子が憧れから芸者になりたいと思い、実際になる人・ならない人両方の姿が描かれていたり、昔ながらのおねえさんが今時の若い芸者の姿を嘆いたり‥‥。

学者さんの書いた本と言っても、固い内容ではなく読みやすい文章なので、おもしろく読めると思います。

東京の花街向島にふれる「芸者の粋と意地―向島 花柳界に舞う女たちの生き様」

東京、向島花柳界の本です。

戦前から芸者で出ていたお姉さんから現代っ子の半玉さん、料亭の女将さんや置屋のおかあさんと、向島花柳界に関わるいろいろなポジションの、幅広い年齢層の女性たちにインタビューをしています。向島芸者さんについて知ることのできる、よい資料ではないかと思います。

ただ正直、筆者の向島芸者さんたちに対する思い入れが強すぎるのか、向島以外の街が絡む記述に関しては「?」と思うことも‥(^_^;)

 でもそれを差し引いても、内容は十分おもしろいです。向島花柳界に興味のある人にとっては、必読の本と言っていいかもしれません。

↓中古価格が高くてびっくり(;゚Д゚)プレミア価格ですか…?

ぷにすけ
ぷにすけ

古すぎて売ってなかったり、あっても高かったり、まあそうじゃなくても、図書館はまずチェックですね。

本を手元に置くなら

新しい本も中古本も、両方一度に探しやすいですね。

本のレビューも割と参考になりますし。

アイテム数も多いので、買うか買わないかはさておき情報収集にも使ってます。

新刊図書以外のアイテムが薄いのが難ですが、送料無料は魅力かな。

楽天ポイントも使えるし。

中古を探すなら楽天市場全体で探すと、出店してる古書店の商品が引っ掛かります。

本を図書館で借りるなら

まずは地元の図書館ですね。そこにあれば一番楽です。

地元の図書館になかったりしたら、こちら「国立国会図書館」。

国立国会図書館

一般の図書館のように貸し出しは不可ですが、館内での閲覧は可能です。

遠方にお住まいの方は最寄りの図書館に取り寄せることも可能。

国立国会図書館サーチ」で探すと、全国どこの図書館に蔵書があるのかがわかります。

地元の図書館にはなくても、他の図書館から取り寄せることも可。

ほかにもネットで読めるものや複写サービスなど、いろいろあるので興味のある方はぜひ!

ぷにすけ
ぷにすけ

本に関するいろいろなサイトにリンクがつながっていておもしろいです。

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